2012年2月14日火曜日

大津波が予測される今

東南海トラフ巨大地震中央防災審議の報告を受けて、これから予想される大津波に対して、建築物の災害対策に関連することについて述べたいと思います。


建築行政では、あの耐震偽装問題を境に建築構造基準と行政手続きが大幅に見直されましたが、その後に起きた大津波の対策にその見直しが障壁となっているのではないかと今、私は考えております。


基準法の見直しの結果として、津波対策には、有効と思われる異種構造を持つ建築物が現在では事実上できなくなってしまったのではないか。このことがここで言っておきたいテーマになります。


異種構造を持つ建築物は現状では適合判定などという厳しい審査を受けなければならず、そのための業務を行うためには、クライアントに多大なコストと労力をお願いする事になり、現実には極めて高いハードルになるであろうと思います。


そこで私がここで主張したいのは以下のようなことです。


大津波災害が及ぶ恐れのある沿岸部に建つ住宅では、1階は鉄筋コンクリートで頑丈に構築し、津波による住宅の破壊から人命と財産を守る、その方法を選択できるようにすること。

鉄筋コンクリート部分を車庫、倉庫、作業場、或いは店舗など必要に応じた施設に当て、2階以上を木造の住宅に当てるという構造は津波対策として大変有効な方法であると考えます。


全てを鉄筋コンクリートで造ってしまえる予算的な余裕があるならば、その心配は取り越し苦労となりましょう。


今後、国土交通省ではこのような異種構造を持つ建築物に対しても、従前のように門戸を開くことが必要ではないだろうかと考えます。沿岸部での津波災害に対して有効となる対策にも画一的な高いハードルを設けることではなく、人の命と財産を守る事への優先度を考慮すべきだと思います。


東北大震災後では行政が国民の命を守る事に関して考慮すべき条件が変わってしまいました。大地震対策だけでは不十分で、沿岸部での大津波対策も同様に考えなくてはなりません。