住宅を含めた建築の設計を行う我々の仕事では建築の性能に関して充分に注意をしておりますが、下記に掲げるような項目をそれぞれを数値化するということは行っておりませんでした。またこれまではその制度も数値判定基準もありませんでした。特に住宅は詠み人知らずのようなケースの商品化という問題もありますので、このような制度は住宅品質の平均点を上げるという意味で有意義であると思います。 しかし性能の高さが住み易さに直結するかと問われれば、それは少し違うのではないかという気がします。この制度は飽くまでも住宅の安全性の指標及び売買時の評価基準になり得るものとして捉えた方が無難ではないかと思います。
この制度の体系と概要を下記しておきます。先ず体系的には、住宅性能表示は品確法のひとつとして制定されています。
品確法とは次の3点で構成されている。(品確法=住宅の品質確保の促進等に関する法律)
1.新築住宅の基本構造部分の瑕疵担保責任期間を「10年間義務化」すること。 →義務
2.様々な住宅の性能をわかりやすく表示する「住宅性能表示制度」を制定すること。 → オプション
3.トラブルを迅速に解決するための「指定住宅紛争処理機関」を整備すること。 →1とリンク
上記1は住宅の提供者(施工者)に義務として課せられる。2は建主がオプションとして選択できる。3は1の問題が発生した時に評定に掛けることができる。
上記2の住宅性能表示制度とは良質な住宅を安心して取得できる市場を形成するためにつくられた制度で次の3つの目的を持つ。
1.各性能を数値化(等級)して比較しやすくする。
2.評価を客観的に行う第三者機関を整備して信頼性を確保する。(設計評価と建設評価)
3.表示性能は契約内容(原則)とされることで性能を実現する。
住宅性能表示の評価項目は次の10項目
1. 構造の安定 6. 空気環境
2. 火災時の安全 7. 光・視環境
3. 劣化の軽減 8. 音環境
4. 維持管理・更新への配慮 9. 高齢者等への配慮
5. 温熱環境 10.防犯対策
以上が住宅性能表示の概要です。住宅を建てる場合に信頼できるパートナーがいる場合でもお互いに共有できる目標値としてその性能を掲げることができるという意味で有効であると思います。また完成されると外からは見ることができない建築中の内部を夫々の箇所においてチェックを行うというのも評価できると思います。しかし住み易さ或いは住宅の自分との相性までは数値化できないということも事実だと思いますので過度な期待は避けたほうがよろしいのではないでしょうか。
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