2010年11月6日土曜日

リフォームに挑戦 その6/6

壁:ビニールクロス貼り。

既存の壁はビニールクロスをラミネートした巾600mmのプリントボードです。当初の考えでは新しいプリントボードに張り替えようと思っていました。と言いますのは私自身でビニールクロスを貼れるというイメージが持てなかったからです。それでも調べていくうちに段々と素人の私でも貼れてしまうのではないかという気持ちに変わってきました。

ビニールクロス貼りの概要
  1. 壁紙の価格は250円/mくらい(ホームセンターでも販売)。
  2. 糊はミックス糊(サンゲツ)を使い刷毛で塗布。
  3. 下地がクロスなので390ボンド(矢沢化学工業)を予め塗布する。
  4. 後は施工道具さえあれば出来る。
施工道具
プロの職人さんは糊付け機械を使って仕事をする他、以下の道具を使います。
  1. 地べら(紙端のカッティングの定規)
  2. 竹べら(カット端部の付着性を確実にする)
  3. ジョイントローラー(継ぎ手などの端部を押さえる)
  4. スムーサー(空気を抜く)
  5. 撫で刷毛(貼り始めに使うものでシワ、空気が溜まらないように壁紙を軽く伸ばす)
  6. カッター
  7. 定規(重ね継ぎ手部をカットするための定規として使用)
  8. テープ(重ね継ぎをする時に端部のマスキングとして使用)
上の道具のうち、私が実際にやってみて必需品であると思ったのは1番から6番まで。殆どですね。

施工上の注意として
  1. 貼り面にコンセントなどの段差があると破れやすいので壁紙を貼り面に当てた時点で、その箇所にカッターで切り目をつけておくこと。
  2. カットする時には最後に当てたカッターを保持したまま、地べらを次のカット面に移動する。
  3. カットは入り隅部においては隅部で行い、出隅部では隅部では行わない。
  4. 壁紙のサイズ巾は93cmくらいなので、予め貼りたい壁面の寸法を調べておき、継ぎ手位置を確認しておく。
  5. 継ぎ手部は何センチか余裕を持って重ね貼りをした上でその部分にカッターを入れて重なっている2枚を同時にカット。そしてカット面を捲り、下になっている壁紙を取り除く。後はジョイントローラーで継ぎ目を押さえる。
  6. 貼る過程で壁紙又は周囲に付着した糊を濡れ雑巾などできれいに拭き取る。
当初、壁紙貼りは自分では出来ないものと思っていた理由は、あの大きな面を持つ壁紙を空気溜まり、或いはシワを作る事なしに行うのは素人にはとても困難であろうと考えていたからです。しかしそれは取り越し苦労でした。実際にやってみると意外と簡単で、糊もすぐにはくっ付かずに貼り直しも自由です。

ただ出来栄えを職人さんのそれと較べられると指摘される箇所は多いとは思いますが、そこは手作りリフォームということで理解して戴きたいと思います。私の実家の出来栄えは私自身は充分に満足しており、良い経験になったと思っております。

ご自分ではとても出来ないと考えている方でも、壁紙の貼り替えだけならクロス屋さんに直接お願いすればそんなに高くはないと思います。私の試算では作業条件などにもよりますがリフォーム(剥がし+貼り)価格として1400円/㎡くらいと見当をつけておりましたが、実際に知り合いの職人さん(宮崎市)に聞いてみると1200円/㎡くらいで請けているようです。

2010年10月27日水曜日

りフォームに挑戦 その5/6

床:桜フローリング張りです。

兄も手伝ってくれたので工事は3日間ほどで終わることができました。工事前に少し気になっていたのはこの間の食事をどうしようかということでした。しかし結果的に一度も台所の機能が損なわれる事はありませんでした。方法は後ほどご説明します。

図1:板の張り方
改修前の床材はクッションフロアを合板に貼り付けたものです。寸法は300×1820×12mm。この1820mmという寸法が実に有難かった。と言いますのは新設床材である桜フローリングも同じく1820mmの長さであり、これがもし違っていたら板の継ぎ目と根太位置とが合わなくなってしまうことがあります。フローリングは交互にずらして張りますので、1列目と2列目とでは板の半分のところに継ぎ目がくるようになります。(図1)そういったところにも必ず根太が必要となりますので、この同じ長さである事は大変有難いことでした。

木製フローリングの価格は数年前と比べると上昇してきておりますが、いろいろと調べてみた結果、建築材料の量販店で9980円/坪というのを見つける事が出来ました。これは本当に安いと思いました。桜は無垢材で30cm毎に集成してあるものです。

 張り方 
図2:継目の納まり

  1. フローリング張り用釘と木工用ボンド併用。
  2. 材質が硬いので板が割れないために釘より若干小さめのドリルで穴を空けた後で釘打ち。
  3. 釘頭が少しでも出ていると次の板が完全に入らずに苦労しました。逆にめり込むほどに釘を打つと殆どの場合、板が割れてしまいました。専用釘以外は使えませんね。
  4. 3番目は大事な事で少しくらいの目地の空きを妥協するとその次からの板に影響してきます。    
    図3:最後列板の納め方
    
  5. 最終列の板張りは職人技が要求されます。板どうしの継ぎ目が図2のようになっていますのでそのままでは壁との間に隙間が出てきます。そこで図3のように端をテーパ状に削るようにして納めます。(床張りの後に壁もやり替える場合はその必要はありません。)
 張り手順

工事中に台所を機能させるためには以下の方法をとりました。この方法は台所の機能を中断させないためだけではなく、将来のメンテナンスを考えた上でのことでもあります。実際35年間使用してきた流し台の下の床は腐食しており、ボロ々の状態でした。
  1. 既存の流し台、及び調理台を手前に移動させた後で、その部分(奥行き500)を先に張ってしまう。(所要時間半日)
  2. 張り終わったら古い流し台等をいったん元に戻す。今張った部分は隠れてしまいます。 
  3. 流し台を少し持ち上げると、1で張った部分が表れるのでそこから新たに張り始めます。つまり1の床張りと3の床張りとでは縁が切れている訳で、そのことで将来、腐り易い流し台下部を自由にメンテナンスできると言う訳です。
  4. 流し台下部以外は半日で進捗できる床張りの範囲を「壊しては張る」を繰り返す。
  5. 床張り工事が終了後に流し台の新旧入れ替え。
 張り終わった後で以前のクッションフロアと比べて見ると、やはり全然違った印象になりました。見た目にもきれいですが特に歩いた時の足の感触が素晴らしい。「流石に無垢の桜材だけのことはある。」といった印象です。やりがいがあったと報われました。

2010年10月26日火曜日

リフォームに挑戦 その4/6

天井:ロックウール吸音板張りです。

床を張る前に天井張りです。順番が逆になりますと脚立、足場などで新しい床を傷つけたり、汚したりしますのでこの順番が良いと思います。既存の天井には石膏ボード基材のプリントボード455×910が張ってありました。今回はその上にロックウール吸音板を張ることになりました。既存材を解体した後に新しい材料を張る方法は工事が大掛かりになり、とても私の手には負えないと思いましたので最初から上張りを選択しました。

材料:ロックウール吸音板303×606×9mm
価格:3180円/坪

製品の継手は相じゃくりと本実との併用になっています。要するに前後左右のボードは凸凹の絡みを持って接合されるように作られております。柔らかい材料ですので扱いに苦労しました。

張り方
  1. 通常は糊とタッカー(特大ホッチギス)とを併用して張ります。
  2. タッカーがありませんので釘を使用。(メーカーでは不可となっています。)
  3. 下地となる既存のプリントボードは予めマジックリンと雑巾とで汚れを除去。
  4. 糊は酢酸系を使用することとなっていたので木工用ボンドを使用。
  5. 釘はメーカーが指摘しているように使わない方が良い。
残念ながら仕上がりはあまりきれいとは言えなかった。このような柔らかい材料は例え継手が本実になっていようとも、下地にガイドラインとして墨を描いておくべきだったと後悔しました。おまけに金槌が当たった部分は修復が利かない。かなりデリケートな工事を要求されました。

もう一人の兄が手伝ってくれたお陰で助かった。糊を付ける→張り位置微調整→釘を打つの一連の作業の中で張り位置微調整は下から目線からのアドバイスが必要なのでとても一人では困難だと思います。それでも最後の方では作業慣れが出てきたせいか最初よりきれいに張れるようになったと思います。また本実になっているので右から左、奥から手前の方向へと向かって張ることになりますので、予め部屋の四隅のうち、何処から始めてどこで終わらせるかを検討しておいた方が良いと思います。

2010年10月23日土曜日

リフォームに挑戦 その3/6

友人に今回のリフォーム体験を話してみたところ、「オレにはそんな面倒な事は出来ない。」と言っていました。

”好きこそ物の上手なれ”で、日曜大工などを面倒と感じてしまう人には向いていないと思います。私の場合はプロセスと結果、そしてその後に残る体験感に興味があったので最後までやり抜く事ができました。それは好きな登山の心境にも似たものでした。

さて最初の工事はキッチンパネル張りです。
キッチンパネルは「アイカ工業」などの会社が作っている製品です。寸法は930mm×2450mm×3mm。通常は13,000円/枚くらいしますが、今回はバーゲン品を見つけて8500円/枚で手に入れることが出来ました。使用枚数は全部で4枚です。

この製品は不燃性でしかも汚れにくく、特にキッチン周辺には最近よく使われております。表面が硬いので切り難く、プロの職人さんは特殊の刃を用いた電動丸ノコを使用していますが、私はホームセンターに行き、デコラ用の普通のノコギリを購入して試してみました。思いの他問題ありませんでした。しかし切りクズの粉が体に付着するとあとで痒くなります。原因は恐らくガラスクロスのせいだろうと想像しております。洗濯物の近くでは作業しないことをお薦めします。

張り方
  1. 基本的には両面テープと専用ボンドとを併用します。両面テープはボンドが乾くまでの間の仮止め用です。私はボンドのみを使いました。ボンドが乾いて安定するまでは木板と角材を使用してパネルが動かないように固定しました。
  2. 下地は新品の石膏ボード又は合板などが基本です。
  3. 既存のタイル下地などの場合はマジックリンなどの洗剤でタイルの表面をきれいにしておきます。
裁断サイズは張りたい箇所の内法寸法より数ミリ少ない寸法にした方が良いと思います。他の部材との間に2mm程の隙間を空けるようにして張り、あとでそこにシール材を充填します。またこの製品は比較的に値段が高いので無駄を出さないためにも予め紙上にて検討してみた上で裁断してください。

張り終わってボンドが安定したら
  1. パネルの接合部又は入り隅部にシール材を充填します。
  2. 出隅部はアルミアングル材などを当てます。メーカーに専用のものが用意されておりますが私は市販のものを使用しました。
  3. シール材を充填するときはマスキングテープを使用して他を汚さないように注意してください。
  4. 最後にパネルに貼ってある養生シートを剥がせば出来上がり。
当工事では下地にビニールクロスの箇所がありましたので、その部分はボンドの付着性が悪いだろうと思い、その上に新たに杉材の厚さ12mmの野地板材を30cmピッチくらいに打ち付けた後にパネルを張ることにしました。もちろん杉材は下の胴縁に固定しています。石膏ボードには釘は利きませんので注意してください。

また老婆心ながら、天井部分の寸法採りとノコギリでの裁断の時とはパネルに対して目の位置が違いますので(見上げる/見下ろす)寸法の書き写しに注意が必要です。

2010年10月22日金曜日

リフォームに挑戦 その2/6

概要
DK床面積=3m×4m=12㎡(3.6坪)
出窓=巾2m、奥行き0.4m、高さ1m

今回のリフォーム箇所を分類すると下記のとおりです。
  1. 床:桜フローリング張り
  2. 壁:ビニールクロス貼り
  3. 天井:ロックウール吸音板張り
  4. 台所周辺(壁・天井と出窓部分):キッチンパネル張り
  5. 流し台と調理台の取替え
  6. 換気フード
以上が今回私が行った工事です。掛かった費用は材料代その他雑費込みで20万円、手間費は計上せず、です。

工事に関しては全くの素人である私でも何とか出来てしまいました。素人が工事を行う場合にもしコツがあるとすればそれは呑込み(理解)だと思います。これから行う仕事の呑込みです。実際、日曜大工の延長で出来てしまいます。興味のある方は挑戦してみては如何ですか。(但し火を使用する部屋のリフォームは仕上げ材の制限があったり、大規模修繕に至っては確認申請が必要な場合があったりしますので注意してください。)

それでは上述した各工事を実際に行った順番に並べ替えてみます。
  1. 台所周辺:キッチンパネル張り ↓
  2. 天井:ロックウール吸音板張り ↓
  3. 床:桜フローリング張り      ↓
  4. 壁:ビニールクロス貼り      ↓
  5. 流し台と調理台の取替え    ↓
  6. 換気フード
次回からこれらの工事に関しまして記述してみたいと思います。

2010年10月21日木曜日

リフォームに挑戦 その1/6

ダイニングキッチンをリフォームしたい
と実家の兄から相談を持ちかけられた。

35年前に建てられた木造住宅のDKで、兄の要望は劣化が目立つ床、壁、天井の各仕上げ材の張替えとキッチン設備を新しくするというものです。

35年前、お盆か正月に東京から一時帰省した折に出来上がったばかりの住宅を見た時にどうしてこんなプランになるのだろうと当時の私は思った。各部屋は暗い廊下で繋がっており、部屋の容態は家具の配置を全く無視したものでした。まだ建築学科の学生だった私でもこれよりは良いものを考えられるだろうと思ったが、新築住宅を手に入れ、喜んでいる兄にそんなことは話せなかった。それにもう家は既に出来上がっていた。

住宅の中でも特にDKは主婦の動線、キッチン設備及びテーブルの配置、ドア及び勝手口の位置など整理しなければならない要素が密集している箇所です。我が実家のDKではここの処が全くと言って良いほどに考察されていないのでした。

ホームドクターの視点で見れば、この肝心要の治療を施さなければ完治は無理というべきなのでしょうけど、予算の都合があるとのことで上述のように仕上げ材の張替えと流し台のリニューアルのみが今回やらなければならない課題となったのでした。

完治しない治療なのだから掛かる費用も最小限にしなければならないということでリフォームに必要な金額をできる限り抑えようと工事に関しては素人である私が担当することにしました。素人であるが故に全くのボランティアです。ひとつの工事を終わらせる毎に、溜まってきた自分の仕事を片付けなければならない日々が一月ほど続きました。(素人とは言え、工事監理は私の専門のひとつでもあるので工事を評価する目は持っているのです。)

工事に先立ち、準備として下記のことがらを整理することにした。
1.使用材料の選択(素人でも出来そうな工事方法を念頭に)
2.それらの材料を何処で、またいくらで購入するのか
3.工事方法と所要時間(工事中に出来るだけ台所の機能を中断させたくなかった)

上の事柄をあれこれイメージしている間に、実際に材料を置いてあるホームセンターや問屋にも足を運んだり、或いはネットで調べたりしているうちにだんだんと選択肢が見えてくるようになりました。

次回は実際に行った工事とそれに関連したことを書いてみたいと思います。

2010年7月9日金曜日

食采とお宿計画

下記はデザイン途中の「つぶやき」です。

政策金融公庫の方が金利が安いね。民間の金融機関も融資条件は同じようなものだけど問題は無担保枠の扱いをどうしてくれるかだ。 #marukinoyado

レストランと居酒屋+宴会とでは空気がまるで違う。フォーマルな気分で食事をしている横で酔客が騒いでいるのはドリフターズのギャクにありそうだ。その辺りを区別して欲しいな。 #marukinoyado

行政官はこちらの提案に譲歩しなかった。プラン形状の変更はクライアントが難色を示した。結果として建物配置は安全上望ましくない方向へ進もうとしている。困った・・・。 #marukinoyado

ここしばらく配置計画のことを考えてきたが、やはり当初のプランが全ての問題に対して高得点のようだ。後は行政官を説くだけかな。 #marukinoyado

法の規制を避けるための方策が結果的に安全性を危惧する建物配置になるのはなんとも皮肉だ。ここは果敢に法に挑むべきだろう。このような矛盾に相談に乗ってくれるのが行政官の本来の勤めだと思うが現実はそうではない。 #marukinoyado

地盤調査の結果が出た。想像どおりの岩盤で形成されている。データは将来にわたって斜面崩落しない保証を100%意味するものでもないが、同時に計画を阻む理由も見つからない。ただリスクとゲインの選択ということになる。 #marukinoyado

地盤調査異常なし。むしろ岩盤なので掘るのに大変そうだ。大変と言えば収支シュミレーション。事業者より私の方が心配している。ボーダーライン以上の集客が見込めれば良いけどハードルはそんなに低くはないよ。 #marukinoyado

旅館の収支計画を作成するのは畑違いだが、たまにこういうことに挑戦するのも面白い。事業コンサルティング&プランナーになったような気分だ。しかしマーケティングは難しい。 #marukinoyado

ひとつの到達点に達したような気がするが、これで決定と言うことでもなかろう。次に網掛けしなければならないプログラムがあるとすれば、それはなんだろうか? #marukinoyado

サービス部門へのデザインは収益部門の余力でやりがちだが、ここもしっかりと取り組まないとね。後で後悔しても始まらない。風呂入りながらボーッと考えてみよう。 #marukinoyado

建物配置を移動する事によって指定区域は免れるが、そのことが施設側の自分の首を絞めるような結果になるのには何か矛盾を感じるなぁー。マァ二つの視点があるからしょうがないといえばそれまでだけど・・・。 #marukinoyado

県の土木課と現地で打合せした。急傾斜地の指定位置の確認。何とかなるかもしれない。 #marukinoyado

何年か前に行った道後温泉、漱石の間で風呂上りの浴衣を通り抜けた五月の伊予の風は気持ちよかった。お宿の間であのような体験ができたらいいな。 #marukinoyado

急傾斜地の扱いがまだ未定だが、断面計画はこんな感じになるかな。 #marukinoyado

住宅の用途に供するものに、寄宿舎、共同住宅などが入るのは理解できる。しかし寝泊りが共通するからと言って、旅館を住宅のくくりにするのは拡大しすぎではないの?お役人さん。法律は人の居住権の安全性と商行為の権利とを分けているように思うのだが、如何? #marukinoyado

同じ山の一画なのに土砂災害防止法と急傾斜崩壊防止法とでは危険区域の指定場所が違う。重複すらしていない。どういうこと?国は所有者にどんな対応をしろと言うの? #marukinoyado

記憶が新しいうちに今日の議事録をまとめよう。急傾斜地の崩壊危険区域の指定、崖地条例、土砂災害防止法・・・マァ次から次に出てくるコト。 #marukinoyado

バスコーナーを主要フレームからキャンチレバーとして持ち出そう。できるだけ基礎を集約して山側に寄せる。次に水平杭を何本か打ち込み擁壁と一体にする。最後に犬走りと擁壁を逆L字型にしてハンガーとする。これらの対策は万が一の斜面崩壊時の重要な手立てとなろう。 #marukinoyado

お宿のお風呂をホテルルームの延長と捉え、海を眺めながらそれぞれの場所で寛げるようにする。両者を区切るのをやめて浴衣と裸の中間を自由にする。浴室の中にベッドが置いてある?ムリか。それではルームの一画がバスコーナー?OKかな #marukinoyado

二人で再度現場を見る。設計者はガケ崩落を恐れ建物配置の向きを振ろうとする。クライアントは眺望重視の気持ちが強い。誰も危険性がない事を明言できない状態で、どこまで安全策を講ずるべきか。 #marukinoyado

渋谷GP地質調査では、どんな地盤で構成されているかは大体検討がつくと言っていたな。依頼するなら地耐力調査といっしょにやってもらったほうが費用的にも安上がりだ。 #marukinoyado

崖の斜度はやはり急だった。高さ26mに対して水平距離が52m必要であるのに現状は38mしかない。14mの不足だ。あとは地質を調査する他ないな。硬い地盤で形成されていれば良いけど。 #marukinoyado

ダイニングルームを含むパブリックスペースのアイデアが全然出てこない。コンパートメントと全体をどういう風に関連付けたら良いの? #marukinoyado

土地を購入する前に私に相談してくれれば、国定公園法、崖地条例についてアドバイスしてあげられたのに。それにしても役所も今になって言ってくるとはひどいね。あまり心配しなさんな。解決策はきっとある。 #marukinoyado

日曜日の午後、海を見下ろす丘でしばらくクライアントとお話をした。料理のためのお宿を計画するためだ。まだ内容は何も決まっておらず、斜面に腰をおろし二人でフリートーキングをしていると話は海のように広がった。腰を上げたときには相手の顔はもう日焼けしていた。 #marukinoyado

等高線で確認したら実際に現場で見たガケの印象よりは、傾斜が緩いようだ。条例の方は何とかなるかもしれない。それにしても条例を確認しないで土地を購入するなんてナンテオソロシイ!! #marukinoyado

コンセプトなんてどうでも良い。言葉の独り歩きだ。大切な事は作ってほしいモノが発する声が聞こえるまで考え込むことだ。 #marukinoyado

部屋タイプのイメージをひとつ思いついた。また全体に戻ろう。行ったり来りの繰り返しをしばらく続けてみるさ。 #marukinoyado

2010年4月28日水曜日

N邸リフォーム計画

北側道路から見る

既存建物+南側の一部を増築

南側庭から見る

南側の縁側に面してDKを設ける

2010年4月22日木曜日

環境と暮らし

わが国でも最近になって漸く、環境意識を持つことの必要性が叫ばれるようになってきました。建築生産現場を例にとっていいますと、最近では住宅建築等の際に高気密、外断熱工法が高品質住宅の金科玉条のように扱われ、その普及が進んできています。そのこと事態、結果を導き出すプロセスに誤りがなければ奨励すべきことだと思います。しかし同時に住み手側が如何にその家の性能を発揮していくかという問題も考えなくてはなりません。ここでは住み手の意識が住宅のみならず、地球環境の快適性をも左右してしまうという認識を持つことの大切さについて触れてみたいと思います。

高気密は換気方式とセットであり、空調方式も併せて計画していかなければ、却っていろいろな弊害を発生することになりかねません。また外断熱は基本的には24時間空調が前提で考えるべき方式で、そうすることで初めてその性能が発揮されます。空調機のスイッチの入れ方によっては、むしろ内断熱の方が好ましい場合もあり又、地域によっても採用条件が違ってきてしまうと思います。木造とコンクリート造のように蓄熱量の違いであるとか、或いは屋根の形状にも注意した方が良いでしょう。

このようにある性能を得るには条件にあった装置を上手に採り入れ、そしてそれを上手に使いこなしていくことが大事です。然しそれだけでは地球環境を守るにはまだまだ不足であるという事例がニュースなどでも多く採り上げられています。それでは今、私たちは何を考え、何を為すべきなのでしょうか。私たちに求められているものは目前に立ちはだかる問題をテクノロジーによってのみ解決するという姿勢だけでは不足で、ライフスタイル、価値観にも及ぶ考え方の変革を迫られているかもしれません。この問題を解く糸口は性能の良いものを手に入れたから安心とか、先端技術に取残されてはいけないということだけではなくて、むしろ先人達が昔から工夫して生活していた中にそのヒントが隠されているのではないでしょうか。

環境とエネルギーと暮らし方をセットで考えるということは、自然のからくりを考えることだと思います。快適に上手に暮らしながら、且つ必要エネルギーからの廃棄物を減らすには環境意識の普及が広く求められています。火力発電、原子力発電などはそのエネルギーを産み出すために出口側に大量の、或いは危険な廃棄物を出し続けますが、この廃棄物は地球のエネルギー循環システムには元々なかったものです。風船のように閉鎖している地球では、このような人間の営みが続く限り生物が生き延びることができる環境は次々と破壊され、その触手が今も尚、増殖し続けています。それらの起因は全て、人間の行為の出口側にある廃棄物です。何かを産み出すということは、それを産み出すために使用するエネルギーからの廃棄物も同時に産み出すということです。

この原因を生み出しているのは私達人間の営みであり、これを何とかしなければならないのも人間の営みである普段の暮らしの姿勢が鍵となります。私達の生活は最早、産業革命以前に戻すことはできない。私達に必要なことは環境の仕組みにもっと目を向けることであり、何を為すかを知ることであります。その結果としてテクノロジーを上手に使用していくことではないでしょうか。環境意識を持つことはその扉であると考えます。どのような生活が理想なのか、受け継いだ地球を次の世代に、或いはどのような地球にしてバトンを渡していけるのかを真剣に考えなければならないと痛感しています。

「夏の炎天下、家が藤棚の下に建てられていたら、どんなにか涼しい住み家になることでしょう。」

「冬、昼間に受けた建物への陽射しで熱を溜め、夜になってそれを使うことができたら、どんなにか快適なことでしょう。」

2010年4月9日金曜日

住宅性能表示

住宅を含めた建築の設計を行う我々の仕事では建築の性能に関して充分に注意をしておりますが、下記に掲げるような項目をそれぞれを数値化するということは行っておりませんでした。またこれまではその制度も数値判定基準もありませんでした。特に住宅は詠み人知らずのようなケースの商品化という問題もありますので、このような制度は住宅品質の平均点を上げるという意味で有意義であると思います。 しかし性能の高さが住み易さに直結するかと問われれば、それは少し違うのではないかという気がします。この制度は飽くまでも住宅の安全性の指標及び売買時の評価基準になり得るものとして捉えた方が無難ではないかと思います。

この制度の体系と概要を下記しておきます。先ず体系的には、住宅性能表示は品確法のひとつとして制定されています。


品確法とは次の3点で構成されている。(品確法=住宅の品質確保の促進等に関する法律)
1.新築住宅の基本構造部分の瑕疵担保責任期間を「10年間義務化」すること。 →義務
2.様々な住宅の性能をわかりやすく表示する「住宅性能表示制度」を制定すること。 → オプション
3.トラブルを迅速に解決するための「指定住宅紛争処理機関」を整備すること。 →1とリンク


上記1は住宅の提供者(施工者)に義務として課せられる。2は建主がオプションとして選択できる。3は1の問題が発生した時に評定に掛けることができる。


上記2の住宅性能表示制度とは良質な住宅を安心して取得できる市場を形成するためにつくられた制度で次の3つの目的を持つ。
1.各性能を数値化(等級)して比較しやすくする。
2.評価を客観的に行う第三者機関を整備して信頼性を確保する。(設計評価と建設評価)
3.表示性能は契約内容(原則)とされることで性能を実現する。

住宅性能表示の評価項目は次の10項目
1. 構造の安定                  6. 空気環境
2. 火災時の安全                7. 光・視環境
3. 劣化の軽減                 8. 音環境
4. 維持管理・更新への配慮         9. 高齢者等への配慮
5. 温熱環境                  10.防犯対策

以上が住宅性能表示の概要です。住宅を建てる場合に信頼できるパートナーがいる場合でもお互いに共有できる目標値としてその性能を掲げることができるという意味で有効であると思います。また完成されると外からは見ることができない建築中の内部を夫々の箇所においてチェックを行うというのも評価できると思います。しかし住み易さ或いは住宅の自分との相性までは数値化できないということも事実だと思いますので過度な期待は避けたほうがよろしいのではないでしょうか。

2010年4月1日木曜日

カルロ・スカルパ

Carlo Scarpa.イタリアの建築家。建築を志している人なら彼の名前を知らない人は恐らくいないでしょう。彼は1906年ヴェネチア生まれ、1978年に訪日中、仙台でなくなっています。生涯のうち、大半の仕事は古い建物のリノベーションに費やされています。創造的な修復を行い職人的・工芸的な建築家と言われています。
右の写真はカステルヴェッキオ美術館で14世紀の古城を再生しています。場所はイタリア北東部ヴェネト州にあるヴェローナと言う町です。ロミオとジュリエットで有名なジュリエットの家から歩いていける距離にあります。

左のスケッチはヴェネチアからバスで一時間ほどの町にあるカルロ・スカルパ自身のオリジナル設計による最後の作品となったブリオン家の墓地にある建物郡の一画にある墓石です。彼自身の墓地もここに隣接しています。いくつかの建物が芝生の庭を囲み、それぞれを回廊でつないでいる。私たちが行った日は偶然にも彼の法事のセレモニーが行われていました。

庭に腰を下ろすと書籍で見ていた有名なシーンに接する事ができます。彼は日本の数奇屋建築に影響されていたと言われておりますが各所に独特のディテールを生み出しておりました。

2010年3月5日金曜日

耐震診断

国が行う各公共施設の耐震対策は学校の診断においては、もうそろそろ終わりに近づいているのではないかと思いますが、その他の施設ではまだ道半端といったところでしょうか。私の事務所もいくつかの学校の診断を行いました。大地震は最近でも世界各地で発生しておりますように、耐震対策は地震大国日本においては国民の命を守る重要な施策であると考えます。しかし同時に現在の財政の側面も合わせて考えなくてはならないと思います。

ここで耐震対策に充てる予算の使い方に関して少し考えてみたいと思います。先に現在行われている対策の内容を簡単に述べておきます。国が行う耐震対策は三つの業務に分かれております。第一に耐震診断、それを受けて第二の補強設計、そして第三の工事という三段階になります。このうち耐震診断と補強設計は設計業務になりますが、この部分に重複しているところがあるのではないかと私は見ています。

構造設計と言う業務は誰が行っても同じ結論が導き出されると言うものではなく、構造的な解決策はいくつかあって、それぞれの構造設計者が持つ考え方、耐力の組み立て方によって様々な結論が導き出されてきます。このような話を聞くと意外と思われるかもしれませんね。そして国が行う耐震業務では診断業務と補強設計業務との二つの業務を年度と設計者とをそれぞれ分けて別々に発注しております。

上の理由から診断業務で行われた構造計算とその考え方が、次の年度で補強設計を担当された別の設計者にそのまま引き継がれるとは限らない訳ですね。業務には責任が伴いますから担当された設計者は自分が責任を取れる方法でのみ業務を遂行します。このような現実がある限り、予算と業務の効率化という観点から国は発注方法を見直すべきではないかと私は考えます。

仮に二つの業務を一本化すると私の試算では一件(延べ床300坪程度)あたり50万円前後の予算削減が可能ではないかと見ています。全国規模では相当な金額になると思います。それでは何故一本化ができないのだろうか?恐らく国及び自治体の年度毎の予算配分の仕方に問題があると思われます。年度毎の帳尻が合えば良いという考え方ですね。それを5年、10年と続けた場合にどれだけ多くの税金を必要とするかという概念が麻痺しているのではないかと思います。これは全体システムの問題でもありますね。